上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--.--.-- 
人間せんせいには以前登場した兄がいますが、
まだ1度も登場していない、弟もいます。

人間せんせいは、この弟を2度見殺しにし、
その後反撃に出られて、1度見捨てられました。
そのうちの第1話です。

人間せんせいは兄の後について遊び、
また、弟も人間せんせいの後をよくついて回り、一緒に遊びました。
その日もそうでした。
人間せんせいが6.7才、彼は3.4才くらいだったと思います。

当時は今ほど公園が整備されていなくて、子供たちは道路で遊んでいました。
車もそんなに来ませんでした。
いつも遊んでいる縄張りのその向うに、急な坂がありました。
今見れば、全く急ではないのですが、
子供の目にとっては、とても急で、魅力的な坂でした。

人間せんせいと仲間たちは、補助輪が取れたばかりの自転車で、
その坂の一番上から下まで、一気に走り下りたいと、
いつもあこがれに近い思いでいました。

ある時は大人たちにダメと言われ、
ある時は工事中だったり、
ある時は、仲間の誰かが、しり込みしたりして、
なかなか実現しませんでした。

そして、ついにお膳立てがそろい、
人間せんせいと仲間たちは、坂の上に集結することになりました。
ところが、弟が、自慢の三輪車でのろのろついて来ます。
まいてもまいても、いつの間にかいます。

仕方ない、一枚かませることにしました。
「ママに言っちゃ、ダメだよ。」

男の子たちから一人ずつ、この憧れの坂を、自転車のブレーキをかけずに走り下りました。
成功した子は、顔を高潮させ、興奮して、そして、誇らしげでした。
自分の番を待っている子は、半分わくわく、あとの半分はどきどき、といった表情でした。

誰も決めはしなかったけれど、
ある種の儀式、肝試し、という思いがみんなの中にありました。
集団ヒステリー的な興奮状態の中で、
人間せんせいも走り下り、感動を分かち合いました。

さて、この興奮状態は、生まれて3.4年しか経っていない人間にも伝わるようで、
弟は、自分もやるといって聞きません。
人間せんせいでさえ、目をつぶって勇気を奮わないと、スタートが切れなかったのに、
この子は、今にも鼻血を出しそうなほど興奮していて、
三輪車を押して、坂のてっぺんに登っていきました。

「やめたほうがいいよ。」
「あぶないよ。」
年上の中にいると、ちびすけは、そう言われれば言われるほど、ムキになるものです。
ますます鼻の穴を膨らませて、弟はスタートを切りました。

顔を真っ赤にして、髪の毛を逆立て、すごい形相で下りてきます。

三輪車というのは、実に軽いものです。
片手でひょいと持ててしまいます。
ブレーキもついていません。
弟の乗った三輪車は、そのスピードと、風の抵抗にあっけなく敗れ、
左へどんどん曲がって、途中弟は放り出され、三輪車は電信柱に激突しました。
ちびすけは、すごい形相が固まったまま、鼻血を出して、大泣きしました。

まるでマンガのような展開に、人間せんせいは、しばし、笑ってしまいました。
なぜすぐに駆け寄らなかったのだと、
こんな年月が経っても、弟はまだ根に持っています。
何かの集まりのたびに人間せんせいは、弟を見殺しにした、極悪姉だと、ののしられます。

大人達が知らなかったところで、秘密裏に子ども達は様々な経験を重ね、
絆創膏を貼ったり赤チンを塗ったりしながら、危険の度合いを体得していきます。
いい時代だったのか、
それとも、やっぱり、ぞっとするような出来事で、極悪姉だったのか・・・

きょうは彼の誕生日。
ちびだった弟も今はおじさんになり、
そろそろ娘にもそっぽを向かれ始め、うなだれています。
実家へ行く日なので、近くに住む彼に、本でもプレゼントしましょう。


shell09.jpg


kuronekoline.gif

2010.07.05 


Secret

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。