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人間せんせいの実家は、お向かいがスポーツセンターでお隣は老人センター、
反対の斜め前には、桜の名所の大きな公園があり、
年寄りが住むには、非常に恵まれた環境にあります。
年寄り二人だけで住まわせている子供たちにとっても、
道路を渡れば適度な運動ができ、
隣りに駆け込めばヘルパーさんが来てくださる、というのは心強く安心です。

父は、水泳をし、PCをいじり、飲みに行き、マージャンをし、ゴルフをし、
80歳を過ぎても遊び倒しています。

さて、父は、仕事だったり遊びだったりで、
今までにあちこちの国に行く機会がありましたが、
何事においても、興味津々、
気後れすることもなく恥ずかしいということを知らない性格ゆえ、
ちょうど戦時中で学校で英語の勉強をしなかったとはいえ、
どこの国に行っても、言いたいことは、
何とか、手振り身振り、絵まで描いたりして、伝えます。
なまじ英語を知らないということは、
フランスでもドイツでも、臆することなく伝えようとするので、
かえっていいことなのかもしれません。

そのまま一生ずうずうしいおじいさんでいても、
言葉にもさほど不自由を感じず、どこの国ででも遊べるのでしょうが、
お向かいのスポーツセンターに英会話教室ができたのを機会に、
この際、基本から正しい英語を学ぼう、と、決心したのが5年ほど前。

そして、人間せんせいは、週に一度ですが父と一緒に勉強をすることにしました。

父はカタカナの振ってある中学生用の辞書を引いて、
テキストの英単語に、上にカタカナ、下に意味を書き込んでいきました。
人間せんせいは、中学生には絶対にそれはさせません。
どうしてもカタカナのほうに目がいき、
英語を英語として読めるようにはならないからです。
でも、当時77歳のおじいさんに、それはだめよとは言えませんでした。

それがどうでしょう。
次の週行った時には、ノートにテキストの英文が写してあり、
そのノートのほうにカタカナ、意味が加えられていて、
テキストには何も書かれていませんでした。
「テキストに書くと、どうしてもカタカナを読んでしまうんだよね。
 何も書かなくても、単語の形で、なんとなく覚えたりするんだよ。」

さすがにだてに歳はとっていませんでした。
何度言っても書き込みたがる中学生より、
勉強するという意味がわかるだけ、大人の方がやっぱり賢いのです。

英会話教室の初心者のクラスは、何コマか設けられており、
父は時間の許す限り、週に10コマくらい授業を受け、
家で、毎日3・4時間予習復習をし、
中学生用の教科書を買って、週末には1年生の教科書をせっせとやっていました。

それだけやっているのに、
悲しいかな、その歳ではやっぱり忘れていくことも多くて、
先週教えたことを、今週は初めて聞くような反応を見せたりします。
父の歳をまざまざと知らされるようで、つらい時もありますが、
人間せんせいが子供の時には、家にいる時間もあまりなかった父と、
こうやって一緒に勉強できる時間が持てることが、今、うれしくてたまりません。
ひとつひとつ、目に、耳に、胸に、焼き付けておこう・・・。

2・3年一生懸命に勉強して、
そのあとで、アメリカにホームステイしたい・・・
そして、5年後には英語がぺらぺらになって、
そのあと5年、自由に世界を歩きたいものだ・・・
当時の父はそう言っていました。

77歳で、5年先、10年先のビジョンが持てるなんて、
毎日を生きるのにひいひいしている人間せんせいより、
父は長生きするかもしれないとつくづく恐れ入りました。

さて、それから5年経ち、
彼は予定通り英語がぺらぺらになったかというと、残念ながらそうはいかず、
なまじ、ちょこっと読めるようになったので、
読んで訳したい方に気が向き、なかなか英語を英語のまま飲み込むことができません。

「もう、ホームステイは無理かなぁ・・・
 でも教科書が読めるようになったから進歩かなぁ。」
きょうは少し弱気の父がいました。

でも、先月サイパンでのゴルフコンペに参加し、
同行者によると、
やっぱり手振りをつけながらどんどん英語をしゃべっているとのこと。

うん。それでいい。
コミュニケーションがとれることこそが、
人が言語を使う意味なのだから。



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ぼくも人間でいうと80歳を過ぎているものと思われます。
でも、ぼくだって英語くらいしゃべれますよ。

near!

ほらね、上手なもんでしょう ♪

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2010.04.13 


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