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かぼちゃは、こわいです。
煮て食べるとあんなに甘くて、やわらかいのに、
なかなかどうして、その前は、硬くて、おまけに頑固です。

かぼちゃを切るときには、いつも緊張し、
今でも東京湾に沈んでいるかもしれない、薬指の先っぽのことを思い出します。

硬くて、大きくて、包丁は途中まで入りますが、
そのあと、うんともすんとも言わず、先にいきません。
じゃあ、抜こうと思っても、力を入れると、
包丁がどこに跳ね返るかわからないので、後にも戻れません。
そうかといって、投げ飛ばすわけにもいかず、
どうしたもんかと、しばらくそばを離れて、
半分まで包丁が突き刺さったかぼちゃを、じっと眺めたりします。

『タイムマシンがあったら、
 かぼちゃをメニューに入れない時間まで戻るのに・・・。』

過ぎ去ったことを悔やんでも、解決にはなりません。
そのまま眺めていては、一生かぼちゃは食べられなくなります。

『無駄な抵抗はやめろ・・・。』

かぼちゃをぐっとにらみ、できるだけどすの利いた低い声で脅し、
もう一度、突き刺さったままの包丁の柄を握り締めて、力を込めます。

だめです・・・。切れません。

刑事ドラマでは、こわもての刑事がどついて犯人をおとすより、
人情派の刑事がぽつりぽつりと言い聞かせて、自白させる場面がよく出てきます。

では・・・。

『生まれはどこなんだ?』
『かあちゃんが泣いてるぞ。』
『最後のお勤めをしなくっちゃ、いけないよ。』
『カツ丼でも食うか?』

かぼちゃにじっくりと言い聞かせ、
涙を誘って、
いざ、もう一度。

ざくっ!!

おぉ~~。
かぼちゃも人情には弱いようです。

それでも、最後の抵抗なのか、断末魔の叫びなのか、
2つに割れた片割れが、ごろんとまな板から床に落ち、
『うううわぁぁあ~~ぁぁ!』
人間せんせいは、思わず包丁を放り出して、飛びのいてしまいます。

かぼちゃを食べようとすると、命がけです。

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       ひとりで、わぁわぁ、何騒いでいるの・・・?


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2010.02.24 


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