人間家族はもともとお父さんぽい人なので、
人間せんせいがむすっとしても、
たいていは彼の方からこちらの機嫌を取りに来てくれます。

彼は電車に乗り込んですぐに寝てしまったので、
新宿に着くまでの40分は、
人間せんせいの気分はちっとも晴れることはありませんでしたが、
新宿で降りる頃には、
「胃が痛いの?牛乳買う?」
「小腹もすいたんでしょ、サンドイッチも買う?」
「荷物、持ってあげるよ。」などと、下手に出てきて、
人間せんせいも機嫌が直りました。

いつでもそうです。

「全部僕が悪い。エリザベスは偉いっ。」
そう言っておけばすべてが丸く収まると彼はわかっているのです。
ずるい分だけ彼の方が上手で大人、というわけです。

いや、それもわかってて、うまくそれに乗り、
『さっきの件はうやむやにはできない。』とか、
『そんなにすぐ折れて、あなたにはプライドっちゅうもんがないのっ?』
などとは決して言わず、
丸く収められたようににっこりできる人間せんせいの方が、
もしかしたらずぅ~っとずるくて、上手で大人、かもしれません。

まぁ、何はともあれ、
こうやって、どこまでが「ごっこ」でどこからが本気なのか、
2人とも狐と狸になって22年も一緒に過ごしてきたのでした。

こんこん。

そして、成田エクスプレスの中、
向かいに座る兄夫婦も、マウイについてからのことを楽しげに語り合い、
ついこの前まで喧嘩をしていたようなそぶりは見せません。

喧嘩をしたかと思えばまた仲良くなって、
一方、喧嘩にもならずに化かしあって、
こ~んなに広い世の中で、縁あって一緒に暮らす2人。
夫婦とは、全く不思議なものです。




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2004.11.05 


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