父の参加したツアーは、ゴルフツアーでした。
宿泊はテニアン島、父がサイパン島でゴルフをしている間は、
人間せんせいはビーチで転がって海と太陽を独り占めする、
その目論見でくっついて行ったのに、
テニアンに到着した後すぐに、その計画はもろくも崩れ去りました。

サイパン島から小型機に乗り換えてテニアン島に向かいます。
すぐ目の前に見える島なので、10分くらいで到着します。
テニアン島上空に来て下を見たら、緑、緑、緑!
小さな島をくるっとさんご礁が囲み、陸地はどこを見ても緑。
集落が見えません。
町らしきものも、ホテルらしきものもありません。
まっすぐに続く道は見えても、車も走っていないし、人影も見えません。




ハワイに比べればグアムやサイパンは都市化していなくて、素朴です。
テニアンはもっともっと素朴でした。
だからこその時間の止まった場所なのでしょうが、
あまりに素朴すぎて、なんにもありませんでした。

空港から10分足らずでホテルに到着。
こんな素朴な島に不似合いの大きなホテルです。
この中でリゾートせよ、ということなのでしょう。

さっそく海に出てみようとホテルを出ました。
ドアボーイの姿を最後に、どこを見回しても、どこまで歩いても、人影はありませんでした。
スコールが通り過ぎた後のむせ返るような緑の匂いと、
日本の磯の匂いとは違う甘い海の香りが風にのって鼻をくすぐります。



道路を渡るとタガビーチという美しい浜に出ました。
青い海と真っ白な砂。
この日は南の太陽がかっと照りつける、という天気ではなく、
優しげな青い色にスコールを呼ぶ雲が風に乗ってぐんぐん飛ぶ、そんな空でした。

海と緑と太陽は確かにありました。
それだけで充分だったはずなのに、
何もなさ過ぎて、これでは海から鮫があがってきて喰われても、
亀を助けて竜宮上に招待されても、
人間せんせいが忽然と消えても、誰一人気がつきません。



若く、美しい女性がたった一人でその豊満な肢体をさらすには・・・・、
え? は?
若く、美しい女性が豊満な肢体をさらす・・・・、
おぉ~、何度打ってもキーが勝手に・・・・。

いや、冗談はさておき、
いくら、とうがたって、美しくなく、鶏がらのような姿でも、
やっぱりひとっこ一人いないビーチに、たった一人転がっている勇気が出ませんでした。
Tシャツを脱ぐこともなく、しばらく足をぬらして一人で遊び、
翌日からの活動を練り直しました。

そして結局、のんびり寝るはずが、父と一緒に朝早く起きてサイパン島まで飛行機で渡り、
何度か来て知っているサイパンのホテルのビーチで、転がったのでした。

それなら、なんでわざわざテニアンよぉ~~?
毎日サイパン島まで往復しても、テニアン島に宿泊する理由が、
父を始めとするおじさんツアーには、あったのです。





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2003.03.23 


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