上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--.--.-- 
人間家族はつい5年ほど前に「いい夫婦の日」というのを知ったらしく、
その年から、ケーキだのチョコだのをお土産に買って帰ります。
そんな夫婦はどのくらいいるものなのか、このへんが、この国の平和なところです。

ところが、その翌日に喧嘩をする夫婦はどのくらいいるのでしょう?
数年前のきょうの日記です。

**************************************************


以前、人間家族はアイスクリーム屋さんに勤めていました。
彼は親会社からの出向でしたが、この会社が生まれた時のメンバーでした。
組織を整え、畑違いの人間せんせいにはとんとわからない準備をたくさんして、
20数年前のこの時期、東京の青山に1号店がオープンしたのでした。

その後、バブルの波に乗って全国に店舗ができ、
彼は店舗運営の部署にいて、月の半分以上は全国を飛び回っていました。

1号店ができた記念の日に、
彼はオープン当時の仲間「青山会」のメンバーと集まります。
元の親会社へ帰った人、転職した人、定年を迎えた人、
今のアイスクリーム屋さんにそのまま残っている人はいません。
人間家族もまた、今は父の会社に勤めています。

それぞれに、それぞれのその後があったように、
彼にもその後があり、私たち2人にもその後があり、
何がいい人生なのか、何がいい夫婦なのかはまだわかりませんが、
少なくとも、いい人生に向かって、いい夫婦に向かって、
私たちを育てた「その後」だったことは確かです。


さて、きょうも彼は以前の仲間と集まっていました。
人間せんせいの仕事が終わった頃、電話があって、
「まだ、会は盛り上がっているんだよ♪」

『終電の時間だけ、確認しておきなね。』
「わかっているよ。大丈夫。」

ところが・・・

次の彼からの着メロに出ると、
「今さぁ・・・上野なんだよね・・・。ここまでしか戻れなかった・・・。」
歯切れ悪く、ぽつりぽつりと彼は言いました。

アホがっ!
だから言ったでしょっ!!

あ・・・初めて終電に乗り遅れたのなら、
人間せんせいだって鬼じゃありませんから、車で出動します。
この人、こういうことの常習犯で、今までに何度も繰り返しているのです。

真夜中に愛車ハッチを暖気すべく、大きなエンジン音を立てることをよしとするには、
残念ながら、くたびれた夫婦の愛情は急カーブで下降しています。

要するに、甘ったれ、お子ちゃま、酔っ払い・・・

何度も同じことを言うな、とか、
何度も同じことを言わせるな、とか、
真夜中だというのに、通話の声も大きくなります。
終電で帰ってくれば、玄関に笑顔で迎え、
楽しかっただろうこの夜の集まりのことも、共感してあげられます。

なのに・・・
ばかたれがっ!

楽しかっただろう夜の最後に、彼は人間せんせいに怒られ、
いい夫婦の日の続きだったきょうの最後に、
あ~あ、夫婦喧嘩が勃発~~~。
なんで、自分でぶち壊すかなぁ。

なにが、いい夫婦の日だ・・・・・・!

ばかたれ。

*****************************************************


おとといの、電話で「ばかたれ。」と怒鳴った夜の続きです。 
さすがに電話では喧嘩になるとわかっていたのか、彼はメールを寄越し始めました。 

「そんなにきついことを言わなくてもいいじゃないか。
 川に落ちた哀れな仔犬を棒で突付く、
 そういうところが君の欠点だと僕は思います。」


誰が「哀れな仔犬」だって?
棒で突付かれるとわかっていて、自分で川に飛び込んだくせに。


「自律の心の乏しき者は、棒でこづかれるくらい覚悟すべきである。」

「自分でもわかっていることを、更に言われるのが嫌なんだよ。
 反省している気持ちを汲んでください。」


「自分で自分を甘やかす、これ最悪最大にして見苦しきことなり。
 今となっては、自分の状況を的確に把握の上、最良の選択をするが肝要。」


「どうしたらいいか、独りで考えてみます。
 君は明日のために寝てください。」


あ~ぁ、酔っているなぁ。
お酒にはではなく、哀れな自分に。

考えてみますって、タクシーで帰ってくるほかないじゃないの。
「かぁちゃん、すまん!タクシー代貸してくれっ。」
これで済む話なのに、なんで、くどくどくどくど哀れに酔うかなぁ。

孤独の中で熟慮しているのかどうか、
彼からのメールは一時中断し、人間せんせいは眠くなってきたので、
お財布を玄関の真ん中において、電気をつけて、寝室に入りました。

少ししてうとうとした頃、ちゃらら~んと携帯が鳴り、メールが入りました。

「上野から鶯谷(上野から一駅)まで歩いてきました。
 眠いです。でも、僕は君の元へ向かって歩き続けています。」


てくてくてく・・・。
背中を丸めたおっさんが、ため息をつきながら歩く姿が目に浮かびます。
ここで、すぐに折り返し電話をして、
『あなた、そこを動かないで!私が迎えに行くわっ。もういいのよ。』
とかなんとか、うるうる声で小さく叫べば、
くたびれた夫婦でも、鶯谷を舞台に感動の再会が訪れるでしょう。

携帯の画面に浮き出る時刻は2時。
人間せんせいはもうベッドに入っちゃいました。
今から出動しても、ひしと抱き合う感動場面は3時になります。
これからむっくり起き上がる力も愛情もありません。

「そうだっ。その意気だっ。そのまま、歩いて帰って来いっ!! かっこいいぞ!」

半分寝ながらベッドの中で返信メールを打ちました。

またしばらく途切れ、また、人間せんせいがうとうとした頃、ちゃらら~ん♪

「鶯谷からどの道に行けばいいのかわからなくなった。
 ここはどこだろう? 日暮里はどっちかな? 眠い。」


「私に聞くな、おっさん。」

そして、それを最後に、人間せんせいは携帯を握り締めたまま、
本当に寝入ってしまいました。

さて、朝になって・・・
隣りを見ると、やっぱり彼はいず、あれからどうしたのか、
起き上がって玄関に出て行くと、
財布の横に「大枚、お借りしました。」と、借用書がありました。

そうです。
タクシーで帰ってくるしか最初から方法はなかったのです。
それをてくてくと、どのくらい歩いたんだか、
ずいぶんと時間も体力も浪費したものです。
そして、2階のソファーで仮眠したらしい様子があり、
おばあちゃんの話では、6時半に出て行ったと。


***************************************************

「いい夫婦の日」は、あと何回巡って来るでしょうか。
でも、まだ後何回か巡って来るその日を毎年重ねて、
もっともっと私たちらしい2人になれますように。



mse0009.jpg


kuronekoline.gif





2010.11.26 


Secret

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。