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世の中は、不思議であふれています。

たとえば、石ころ。
忙しく暮らしているときには、見過ごしてしまいますが、
ふと、歩く道の石ころに気を止めると、
不思議があふれてきて、思わずしゃがみこみます。

「どこからきたの?」
「いつからそこにいるの?」
「おかあさんは誰?」
「今、何歳?」
「今までに何を見てきた?」
「傘は持っているの?」
「雨の味は、最近、変わってきている?」
「あそこのしろねこは、どこへ行ったか知ってる?」
「あそこのうちの子は、きょうは学校に行けた?」
「ひとりぼっちは寂しくない?」
「お友達は、兄弟はいたの?」
「いつまでここにいるの?」
「これからどこへ行くの?」
「どうやって行くの?」

たかだか石ころに、これほどの、いや、もっとたくさんの言葉が出てきます。

だって、こんな住宅街のアスファルトの道に、
羽もなければ足もない、石ころがひとつ、ぽつんところがっているのです。

誰かに蹴飛ばされてそこにいるのだとしても、
もともとは、山から切り出されて、
トラックに乗って、町までやってきたとしても、
人間せんせいが生きて見てきたものより、
はるかにたくさんのことを、この石ころは見てきているに違いないのです。

「マンモスは見たことある?」
「昔の子供は、どんな笑顔だった?」

「人間はこの先どうなると思う?」
「泣く子は、これ以上増えると思う?」
「せみは、いつまでこの辺に住めるかな?」

石ころは、何にも答えません。
でも、耳を澄ませば、何か心の中に聞こえるものがあるかもしれません。

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2010.02.01 


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