今回の旅行も兄夫婦と一緒でした。
ところが10日前になって、
「ねぇ、私、キャンセルしたら怒る?」と姉が言ってきました。

あぁ、姉というのは兄の奥さんのことですが、
義姉という言葉が好きではないので、つい「姉」と書いてしまいます。
紛らわしいので、名前をつけることにしましょう。
う~んと・・・「ジョセフィーヌ」がいいかな・・・。

さて、そのジョセフィーヌですが、
仕事が忙しい中でのイライラもあったのでしょう、
なんと、一緒に行く兄と犬も食わぬ夫婦喧嘩をしたというのです。
だから一緒に行きたくないと・・・。

彼女の爆発は、一切のご飯の支度を拒否する形で現れますから、
突然お弁当を持ってこなくなった、と、兄と同じ職場の人間家族も気が付きます。

『キャンセルはだめだよぉ。出発までに何とか修復してよ~。』

人間家族と人間せんせいは、毎日お弁当の有無を心配しましたが、
彼らはなんとかキャンセルをせずに当日を迎えました。

さて、マウイ出発は夜の便なので、当日もゆっくり出発ができますが、
それでも、出発直前はなんだかんだと、人間せんせいはばたばたしていました。
人間せんせいはねこ隊にお別れをし、ショルダーをかけて、さぁ出発。
いや、トイレに行ってから・・・と、またショルダーを置きました。

さぁ、今度は大丈夫とショルダーを取り上げようとしたら、
ありゃ、置いたはずのところにありません。
人間家族が持って階下に降りてくれたのか、と下に行ってもありません。

1階と2階を往ったり来たり、
勉強部屋かと、リビングと勉強部屋を往ったり来たり、
大事なものが入ったショルダーが忽然と消えました。

5分も7分もうろうろした後、
実に不思議なことに、ショルダーは突然リビングの入り口に現れました。

おっかしいな・・・。

リビングの入り口なら、さっき探したときに見逃すはずはないのです。
でも、さっきは確かにありませんでした。
ショルダーが神隠しにあったとしか思えませんでした。

その間、人間家族は玄関でずっと待たされ、
「直前まで何やっているんだよぉ、信じられない。」と、
珍しくイライラした口調で言い捨てました。

かっちぃ~~ん!!

火の元を点検したのは誰よ?
ベランダの窓を閉めたのは誰?
最後にねこ隊にかりかりをあげたのは?
雑巾を雨にぬれないところにかけたのは?
最後のゴミをまとめたのは?
留守録をセットしたのは?
コンセントを抜いて回ったのは?

彼は掃除機はかけてくれます。
洗濯物もたたんでくれます。
食器も洗ってくれるし、ねこトイレも洗ってくれます。

でも、細かい諸々には気が付きません。
家事のキャリアーが違うので、気が付くのが当たり前とは思いませんが、
彼が早々と玄関で待っている間に、人間せんせいが最後の点検をしていたのを、
さものろのろしていたかのように、そんな言い方をされてむっとしたのでした。

ついさっきまで、兄達のことを心配していたのに、
気が付けば、自分達が険悪な雰囲気になっていました。
待ち合わせの新宿駅までひと言も交わさず、目も合わさず、
前途多難の出発となり、人間せんせいの胃はきゅぅ~んと痛み出しました。




kuronekoline.gif

2004.11.06 
人間家族はもともとお父さんぽい人なので、
人間せんせいがむすっとしても、
たいていは彼の方からこちらの機嫌を取りに来てくれます。

彼は電車に乗り込んですぐに寝てしまったので、
新宿に着くまでの40分は、
人間せんせいの気分はちっとも晴れることはありませんでしたが、
新宿で降りる頃には、
「胃が痛いの?牛乳買う?」
「小腹もすいたんでしょ、サンドイッチも買う?」
「荷物、持ってあげるよ。」などと、下手に出てきて、
人間せんせいも機嫌が直りました。

いつでもそうです。

「全部僕が悪い。エリザベスは偉いっ。」
そう言っておけばすべてが丸く収まると彼はわかっているのです。
ずるい分だけ彼の方が上手で大人、というわけです。

いや、それもわかってて、うまくそれに乗り、
『さっきの件はうやむやにはできない。』とか、
『そんなにすぐ折れて、あなたにはプライドっちゅうもんがないのっ?』
などとは決して言わず、
丸く収められたようににっこりできる人間せんせいの方が、
もしかしたらずぅ~っとずるくて、上手で大人、かもしれません。

まぁ、何はともあれ、
こうやって、どこまでが「ごっこ」でどこからが本気なのか、
2人とも狐と狸になって22年も一緒に過ごしてきたのでした。

こんこん。

そして、成田エクスプレスの中、
向かいに座る兄夫婦も、マウイについてからのことを楽しげに語り合い、
ついこの前まで喧嘩をしていたようなそぶりは見せません。

喧嘩をしたかと思えばまた仲良くなって、
一方、喧嘩にもならずに化かしあって、
こ~んなに広い世の中で、縁あって一緒に暮らす2人。
夫婦とは、全く不思議なものです。




kuronekoline.gif

2004.11.05 
現地へ付いてリーフレットを見ながら、
やりたいこと、お値段などを検討してオプションを決めたりします。
去年行けなかった東マウイの秘境探検に、今年は行きたいと意見が一致しました。

マウイでは、貿易風がハレアカラ火山にぶつかり、
その湿った空気が雨になって、南側には熱帯雨林が茂り、
温暖で乾いた西マウイとは、また違った顔を見せます。

ツアーを申し込むと、
ランドクルーザーのような大きな車でがんがん走るそうですが、
せっかくレンタカーがあるのだから、
行ける所までそれで行ってみようということになりました。

写真の地図で言うと、左上が西マウイ、右下が東マウイ。
左上のカアナパリから島のくびれたところを、空港側に渡り、
ハナの町を抜けてキパハルというところまで、距離にして300キロくらい。
地図で見てもわかる通り、熱帯雨林の山をくねくねしながらつたって行きます。
キパハルの先の、地図の白くなっている道は火山道でとても険しく
車も傷つきやすいので、レンタカー通行禁止になっています。
ツアー車ならその先もがんがん行くわけです。

さすがに観光コースで、前方にツアーカーやレンタカーも走っていたし、
途中途中で車を止めてカメラを向けている人垣もありましたが、
よく見れば、とても「滝」とも言えないようなちょろちょろの流れ水が・・・。
くねくねコースも、どこがジャングル?どれが秘境?何が熱帯雨林? と思うほど、
日本人には見慣れた山越えの風景が延々と続くばかりでした。

広い平原、乾燥地帯のアメリカ本土から来た人には、
この風景はまさしく密林でしょうし、ちょろちょろでも滝は滝。
第一、こんな狭いくねくね山道を走るのでさえ、
感動のツアーになるのかもしれません。

しかし、我々は日本人。
水も豊富で、木々が密集した山の細いくねくね道は、
悲しいかな、どこにでもある風景です。
このままでは、ガソリン代と300キロの運転とこの貴重な1日が、
ただの無駄になると、4人が4人ともうすうす感じてはいましたが、
悔しいので誰もそうは言わず、
黒い砂の海辺で、作ってきたサンドイッチを、
強い風に吹き飛ばされそうになりながら、口数少なく頬張って、
さっき来た道を悲しくUターンをしたのでした。

ううう、また延々と走るかと思うとうんざりで、
かわいそうな運転手以外はみんなぐうぐう寝てしまいました。

ところで、オプショナルツアーに行った人のレポートを検索すると、
レンタカーで行けなくなってから、火山の裾野が未舗装の道になり、
それは上ったり下がったりのジェットコースターコースだとありました。
途中で道路の上を川が流れるという難所もあるそうで、
ハレアカラを南麓から見上げる光景がすばらしく、
この火山の荒地は実に感動すると・・・。

ふむ・・・。
あそこから先が感動するのか・・・。
次回、やっぱり探検、やりなおしか?




kuronekoline.gif

2004.11.04 
写真にあるように、
マウイ島はひょっこりひょうたん島みたいな形をしています。

滞在したところは、左上の方のカアナパリというリゾートエリア。
大きなホテルやコンドミニアムが海岸沿いに立ち並びます。
そこにはもちろんプライベートビーチがあって、
「GUEST ONLY  PLEASE RETURN 」などと無常な看板があります。
でもすぐ隣には、public beach もちゃんとあって、
現地の人たちも同じように、青い海、白い砂浜を堪能できます。

去年はコンドミニアムのビーチで遊びましたが、
今回は、もう少し北のナピリという海岸で遊びました。
膝くらい、おなかくらいのところでも、色とりどりの南の魚がいっぱい♪
岩場には数え切れないくらいのウニが張り付いていて、
手を伸ばせばすぐに獲れます。
勝手に食してもよいのでしょうか?

ハワイに行っても、マウイだけに滞在する日本人は少ないのでしょう。
殆ど日本人には会わず、アメリカ本土からの旅行者が多いようです。
それも、年配の方々が多く、それだけのんびりできるところなのかもしれません。
車椅子や杖をついて、介護の人が付き添っている、
そんなうんとお年寄りの方が海に入る姿にも会いました。

のどかで水がきれいで、波も穏やかで、人も少なくて、
ゴミひとつ落ちていない安全で清潔なところで、
水面下が見える窓つきのビニールマットを浮かべて、
お年寄り達もゆらゆら楽しんでいます。
人間せんせいの親くらいの人たちなら、元気にシュノーケリングもしています。

う~んとお年寄りでも、しわしわの身体でも、
ピンクの花柄の水着を着て、両腕を支えられて、
海面にぷかぷか浮かんだり、海の中をのぞいたり。
そういうお年寄りだと、すぐにリハビリという言葉が浮かびますが、
ここではそうじゃない。
介護人が付き添っていてもやっぱりバカンス。
若い時のように健康な時のように、身体の自由は利かなくても、
ごく当たり前に旅行をし、海にも入る、
日本ではそういう光景がまだまだ多くは見られないのが残念です。

写真の左は初めて見る赤いウニ。
水の中にいるところです。
きれいな水でしょ。


kuronekoline.gif

2004.11.03 
全く、火の始末も戸締りもしないくせに、
「遅いぞ。」なんて、玄関で文句を言うんだから~~、と、
出掛けにはぷんぷんした人間せんせいでしたが、
そしてそれは、この旅行前のことばかりではなく、
いや、きっと、人間せんせいだけではなく殆どの女性が、
家庭生活の管理を対等に分担して欲しいといつも思っているに違いありません。

先輩の世代なら、そういう発想すら難しいような物差しで、
生きざるを得なかったのでしょう。
また、後輩達の世代では、男女の対等化が更に進んでいるのかもしれません。

でも、本当はね、人間せんせいも気がついているのです。
人間せんせいの世代は、ちょうど古い物差しと新しい物差しの狭間で、
都合のよいところは「女性である」ことを甘受している部分もあるのだと。

人間せんせいは自由業ですが、これが組織の中にいれば、
本当の対等とは、かなり厳しいものになるはずです。
家庭があるから仕方なく自由業を選んでいるのか、といえば、
そうだとも胸を張っては言えません。
家事負担がなければもっともっと自由に仕事ができるとも思いますが、
人生における仕事の責任を、
男性と同じ重さで引き受けるつもりがあるのかといえば、
その選択をするには不安な部分もあります。

勿論、今している仕事での責任は引き受けているつもりです。
ただ、仕事量として、男性の比較にはならないだろうと思うのです。
「あんたの一人くらい私が食わせてやれるわっ!」と、
啖呵を切った人間せんせいですが、
じゃぁ、昇進や成功や認知、それに伴ううるおい、果ては保険やら年金やら、
長いスパンで考えて100%言い切れるかといえば、
やはり、夫が仕事を持って長い間家族を支えるというのは、
頭が下がることなんだと素直に思うわけです。

今の社会で女性が対等に認められるかという、
個人ではどうにもならない不自由さも当然ありますが、
それでも、100%の啖呵が切れないのは、
単に社会のせいだけにできない自分自身のずるさも感じています。

些細なことですが、今回の旅行でも、ふと気が付けば
旅行バッグも重くて大きいのは、人間家族が当たり前のように持ちます。
車が来れば、すっとこちらの身体を歩道側に引き寄せかばってくれます。
うんざりする長いドライブも、当たり前にハンドルを握り、
ちょっとそこまでの買い物にも車を出し、重い袋は進んで持ち、
「なんで俺達ばっかり!?」なんて文句ひとつ言いません。
きっと暴漢が出たならえいっとやっつけてくれるでしょう。
そして、これらをしてもらえなかった場合には、
また小言や嫌味、文句のひとつも言われるのでしょう。

男はつらいね。

このメンバーの時にはジョセフィーヌが、
手続きや交渉ごとからお財布の管理まで、何でもやってくれますが、
2人での旅行では、人間家族が全部やります。
普段はお小遣いさえ管理できなくて、前借りをしたりするくせに、
お財布の管理も見事にやってのけ、予算をうまく残したりもし、
よっぽど赤ん坊だと思っているのかどうか、人間せんせいは何もせず、
英語のせんせいなのに、英語すら使わずに済んでしまいます。

できるくせに、わかっているくせに、普段は甘えているだけなのよね。
そして、そうわかっているくせに、
こちらも彼に甘えて「手がかかる」なんて言ってしまうのよね。

本当に夫婦というのは不思議な関係。
なんでこの人と一緒に生きているのだろう。
なんでこういう風に生きているのだろう。
恋人のときなら、もっと彼はしゃきっとするのだろうし、
人間せんせいだって、もっとゆったりと抱え込んであげられるのでしょう。
ずうずうしくも、恥ずかしげもなく、甘え合ってしまえる、
そして、それを口をとんがらせながらも、いつの間にか許してしまえる、
なんて愚かでおかしくて、でも素敵な関係♪

ところで、きょうは人間せんせいの結婚記念日であります。
ドレスを着て舞い上がってるんるんした日から早20年以上。

これからもきっと、同じような日々が続き、
時にはぷぅ~っと膨れ、時にはそれをおもしろがって、
「私達、おかしいね。」といつまでも顔を見合わせてぷっと吹き出せる、
そんな風に暮らせたら楽しいね♪



kuronekoline.gif

2004.11.02